「ひと夏の共犯者」第5話の感想|“真実”に触れた夜の静けさ【ネタバレなし】

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笑顔の裏に潜むざらついた空気

巧巳(橋本将生さん)のもとに集まった、水川(丈太郎さん)・澪(恒松祐里さん)・モナ(石川瑠華さん)の4人。
川遊びや花火のシーンは、一瞬だけ“普通の夏”が戻ってきたみたいで、胸がじんわりした。
でもその後の水川くんの視線、あれがすべてを壊していく始まりのようで…。
SNSで“澪が海斗を殺した犯人かもしれない”という考察を見たことで、彼の中に小さな疑念が生まれる瞬間の表情。
無邪気さの中に差し込むその影が、何よりも怖かった。

追う者と追われる者、その境界が揺れる

刑事の塔堂(萩原聖人さん)と三宅(枡木玲弥さん)のやり取りは、今回も妙に生々しかった。
三宅くんが推しのアイドル・愛衣那(永瀬莉子さん)に“澪のこと”を聞かれて戸惑う場面、まるで警察ドラマの緊張感とは違う、人間らしい揺らぎがあって印象に残った。
“職務”と“個人”の境界線が曖昧になる瞬間って、こんなにも苦しいのかと感じた。
塔堂さんの視線がずっと澪の方を向いているのも、ただの捜査とは思えなかったな。

二つの心が交わる時

巧巳が澪のもう一人の人格・眞希に「全部知りたい」と覚悟を決める場面、あの静けさが忘れられない。
言葉よりも、あの間(ま)がすべてを語っていた。
“知ること”は“受け入れること”と同義なのかもしれない。
二人の間に流れる空気が少しずつ変わっていく様子が、痛いほど丁寧に描かれていた。
眞希の目の奥にある何かが、ほんの一瞬だけ“救い”に見えたのは気のせいじゃないと思う。

夏の終わりが近づく予感

水面に映る花火の光が、どこか儚くて。
あの夜の明るさの中に、もう“終わり”の匂いがしていた。
誰もが笑っているのに、誰も笑っていないような感覚。
第5話は、そんな矛盾の美しさに包まれていた。
真実が近づくほど、心が遠ざかっていくような不思議な余韻。

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