公衆の面前で晒された地獄
冒頭から震えた。
莉沙(井桁弘恵さん)の前に、涼(豊田裕大さん)の妻・凪子(山崎紘菜さん)が現れるシーン。
「私の夫と手を切ってください」という一言が、あんなにも冷たく響くなんて思わなかった。
泣き崩れる凪子の声も、群衆のざわめきも、すべてが“見られている地獄”。
その場の空気の重さが画面越しでも伝わってきて、心がざわついた。
しかも、凪子の“演技じゃない泣き方”がリアルすぎて、見ているこっちまで息苦しくなる。
「違います」の言葉が届かない
莉沙が必死に否定しても、誰も信じてくれないあの絶望感。
不倫という言葉が一度口にされた瞬間、真実なんてどうでもよくなる。
凪子が放つ言葉の一つひとつが、まるで鋭い針みたいに莉沙を刺していた。
しかも「涼が全部話すんですよ、私に」の一言で一気に世界が崩れる。
誰かを信じた結果、裏切られるあの感覚、静かに胃が痛くなった。
凪子の目が笑ってないのに、言葉だけが丁寧なのも恐ろしくて。
これが“狂気の優しさ”なんだと思った。
もう一つの裏切りの種
一方で、奏子(奈月セナさん)が莉沙の夫・高久(落合モトキさん)を誘惑する流れ。
この展開、まさに“地獄の追い打ち”。
シリンジ法という現実的で冷静な手段を選ぶあたりに、彼女の計算高さと切なさが入り混じっていた。
それがただの“欲望”じゃなく、“渇き”に見えたのが余計に怖かった。
「リスクの少ない人生」を選んできたはずの莉沙の世界が、音を立てて崩れていく様子が本当に生々しい。
誰もが少しずつ壊れていく
このドラマのすごいところは、“善悪”をはっきり描かないところ。
誰も完全な被害者じゃなく、誰も完全な加害者でもない。
だからこそ、見ていて苦しくなる。
凪子も、奏子も、莉沙も、みんなそれぞれの孤独の中でもがいている。
そして、そのもがきが“愛”の形をどんどん歪ませていく。
気づいたら、愛も正義もただの“武器”になっていた。
見終わったあと、しばらく無音の部屋で深呼吸してしまった。


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