疑いと信頼のボーダーライン
絵本作家・御厨真琴(中村ゆりさん)が、画集『ギリアスの実』を取り戻そうと訪れた〈Heaven’s messenger〉で、遺品整理人・鳥飼樹(草彅剛さん)がふと涙を流したあの瞬間。
「母・鮎川こはる(風吹ジュンさん)が、もしかして騙されているのでは?」という真琴の疑念が、静かな怒りとなって画面に刻まれていた。
でもこはるさんは、迷いなく樹さんに信頼を寄せていて、そのギャップの中に「親子の距離」と「他人の優しさ」が複雑に入り交じっていて、切なさがずっと残った。
「信じたいけど、信じられない」っていう微妙なあの揺れが、夜になっても頭にこびりついてる。
陽だまりのベンチで交わされた、無言の覚悟
こはるさんが作ったおにぎりをベンチで食べる樹さん。そのシーンがただ暖かいだけの昼下がりじゃなかった。
「妻に先立たれ、悲しみのどん底にいた自分」と、「近い将来、母親を失って悲しみに暮れるであろう真琴」という重なる未来の影。
絶望も優しさも、隣り合わせでやってくる瞬間をそのまま映し出していて、ふと涙がこぼれそうになった。
「残される者のことまで考える」って、言葉にするほど軽くないから。あのベンチの光景が、救いでもあり、問いかけでもあった。
遺品整理という仕事の“また別の側面”
物語は遺品整理の現場だけにとどまらない。こはるさんと母娘の関係、真琴の画家としての想いと過去、家族の記憶…それらが遺品整理という仕事の陰影を映していた。
遺品って「モノ」だけじゃなくて、「言えなかった言葉」「消せなかった記憶」が詰まってて、樹さんがその“声なき声”に耳を傾ける姿に、ハッとさせられた。
また、真琴の抱える“わだかまり”と“期待”が、見てる側にも自分の中の隠した気持ちを呼び起こして、胸の奥がギュッとなった。
妹の留学費用と“ある家族”が抱える焦り
一方で、留学費用700万円を探す兄・木村遼太(西垣匠さん)と妹・里菜(山下愛織さん)、そして彼らを助ける海斗(塩野瑛久さん)・ゆずは(八木莉可子さん)・碧(小澤竜心さん)の物語。
お金を巡る焦燥や、家族を守りたいという気持ち、そして“時間がない”という切迫感が、物語の別軸としてすごく効いてた。
この“二つの家族”の対比が、「人の終幕」にどう関わるのかという期待とともに、なんだか心拍数を上げた。
第2話を観終わったあと、胸の奥に「何を信じ、何を手放すか」という問いが残った。
物語の静けさに隠された強さと、言葉にしなくてもわかる優しさが、夜にこそじんわり響く感じ。
このドラマ、もうただ“泣ける”だけじゃないっていう予感が強まった。
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