衛星「HIKARI」が見せた夢のかけら
飛鳥(木竜麻生さん)たちが作り上げた人工衛星が、ついに宇宙へと放たれる日。
JAXAの敷地に集まる仲間たちの表情には、達成感と寂しさ、そして期待が入り混じっていた。
衛星が空へと消えていくあの瞬間、誰もが息をのんで見つめていた。
「自分たちの手で、こんなにも遠くまで届くものを作れたんだ」――そんな思いが、静かに胸に積もっていく。
待つ時間がくれる余白
衛星から地球の画像が届くまで数日。
その“待つ”という時間が、作品全体に穏やかで深い呼吸を与えていた。
晴子(伊藤万理華さん)や周(片山友希さん)、そして学生たちの表情には、それぞれの過去や努力の記憶が透けて見える。
「結果」を焦るのではなく、「過程」の中にある静かな達成を大切に描いているところが、この回の美しさだと思った。
新しい夢が灯る瞬間
彗(奥平大兼さん)の新しい夢を聞いたときの飛鳥の表情が忘れられない。
これまで一緒に“宇宙”を目指してきた仲間のひとりが、次の目標を語る。
それは、別れでもあり、希望でもある。
“夢は終わらないけれど、形を変えて続いていく”――そんなメッセージが静かに流れていた。
地球と宙のあいだで見つけたもの
第31回は、壮大な出来事を描きながらも、とても静かな回だった。
打ち上げの興奮よりも、その後に訪れる余韻を丁寧にすくい取っていて、心の中にずっと残る。
無重力というタイトルの通り、重さを手放した“想い”が宙を漂うような時間。
そしてその中で、飛鳥たちはようやく「地上に残る自分たちの役割」を見つけていく。
画面の中に広がる宇宙よりも、彼らの心の中の宇宙の方がずっと広く感じられた。


コメント