「いつか、無重力の宙で」第24回の感想|失ったものを抱え、再び宙へと向かう選択のとき【ネタバレなし】

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冒頭から、飛鳥(木竜麻生さん)の表情にこれまでとは違う覚悟が宿っていた。
仕事で宇宙ベンチャー企業のクライアントを担当したことで、自分自身に「宇宙を仕事にする」という選択肢が現れたことを、飛鳥が少しずつ実感し始めた瞬間だった。
そして、その背景には、高校時代に共に夢を語ったひかり(森田望智さん)の存在が、静かに、しかし確実に影を落としていた。

過去と向き合うことで見えてきた“自分”という星

高校時代の天文部時代に、ひかりと「一緒に宇宙に行こう」と語り合った飛鳥。
勇気も覚悟も足りず、その道を選べなかった。
その記憶が今、仕事の中でちらついていて、飛鳥はその“選ばなかった道”と本気で向き合うことになる。
この回では、過去の自分を振り返ることで、今の自分が何を望んでいるのかが浮かびあがってきた。

熱真空試験というリミットが生んだ緊張と連帯

飛鳥は彗(奥平大兼さん)とともに、人工衛星開発における最後の難関、熱真空試験に挑む。
その「試験」という言葉が、ただのシーン演出ではなく、彼女たちにとっての“試される時間”だと感じた。
緊張感の中に流れる「もう一度立ち上がる」という意志。
そして、チームとしての絆が少しずつ光を帯び始める過程が、胸に染みた。

“再始動”の予感を告げる夜明け前の静けさ

ひかりの存在が飛鳥の中にぽっかりと空いた穴を作っていた。
それを改めて感じた飛鳥が、仲間とともに――それも学生たちの力を借りながら――プロジェクトを再始動させる決意を固める。
この“再び動き出す”描写に、熱さとともに寂しさも混ざっていた。
衛星に名前をつけたいという提案が出たとき、「ああ、これが“彼女たちの旅”なんだ」と思った。

この第24回を観終えたあと、自分自身の“選ばなかった夢”にも視線が向いた。
飛鳥の「今からでもできるかもしれない」という言葉が、静かな希望として心に残る。
演出の光と影の使い方、小道具の宇宙要素、沈黙の間――どれもが丁寧に「失った時間」「取り戻す時間」「重ねる時間」を伝えていた。
この回は、未来に向けた扉が少しだけ開いた瞬間だったと思う。

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