なんだか今回は“静かな決裂”の音が聞こえた気がした。
あん(仲間由紀恵さん)が離婚を切り出すシーン、渉(北村有起哉さん)の沈黙、そしてあの夜。
「家」が一体何だったのかを問い直すような1話だった。
家という場所の意味がゆらぐ
あんが「母親ではない自分を取り戻したい」と語ったとき、ほんの少し光が見えたようで、同時に影も深くなった。
それって“自分”を探す旅の始まりなんだろうな、と思った。
渉は何も応えず、部屋に静けさが広がる。
その静けさがすごく怖かった。
家が本来あるはずの安心ではなくて、どこか重く張りつめた空間になっていたんだ。
夜を明かすことで見えたそれぞれの立ち位置
男性チームと女性チームに分かれて過ごした夜。
二階のテントで、あんとさとこ(阿川佐和子さん)たちが語る親の話。
三階で慎一(草刈正雄さん)と渉が語る「家族に対する後悔」。
夜の静けさの中で、みんなの心が少しだけ音を立てた。
あの「ラジオ体操」も印象的で、朝の光とともにあの場にいた彼らの気持ちが、ぽろっとこぼれた感じがした。
子どもたちの目線が胸に刺さる
ゆず(近藤華さん)があんの携帯にメッセージを入れた瞬間、子どもたちが親を見る目の優しさと鋭さに気づかされた。
「お母さん、お父さん、どうして?」って問いかけるその背中に、あんの過去と渉の迷いが映っていた。
「泣く男が好き」って言ったあんの言葉が、ただ可愛げだけじゃない深さを持っていた。
もうすでに、あの“宣言”の瞬間が忘れられない。
そして、「あと何日」というカウントが始まったことで、時間の重みも加わった。
離婚を切り出した瞬間から、二人だけの時間が設定され、そのカウントダウンの中で家族の風景が動き出す。
このドラマには、日常の端っこにある瞬間の“ずれ”がちゃんと描かれていて、軽くないけど重すぎず、リアルに心に残る。
演出もいい。朝のラジオ体操、分かれて過ごす夜、言葉にならない涙。
「言葉だけじゃ伝えられないこと」が、音や間や沈黙で語られてる。
だからこそ、視聴後に自分の中に小さな問いが残った。
あんと渉の関係を見てるだけで、自分の“家”とか“役割”とかを振り返ってしまった。
心に残る場面がいっぱいあったけど、特にラジオ体操中のあの表情と、テントの中のささやかな笑いと涙が頭から離れない。
このドラマ、もう“次”だけじゃなくて、“今”がすごく意味を持っているんだなと思う。
確信というか覚悟というか、そういうものが漂ってる。


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