「介護スナックベルサイユ」第1話の感想|“魔法の一杯”が誘うもう一つの世界【ネタバレなし】

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初回から、現実と幻想のあわいに包まれるような空気に胸がざわついた。
闇バイトから逃れようと始めた福祉タクシー運転手という導入に、すぐにこの世界の異質さを感じた。
“介護スナック”という場そのものが、ただの癒やし空間じゃないことを予感させて。

ママ・まりえの深淵さとスナックの膜

上杉まりえ(宮崎美子さん)は、見た目の優しさの背後に“何か”を秘めてる存在。
言葉少なに、でも確かな存在感で、店の空気を支えてる感じがした。
あの「魔法のワイン」の説明が出た瞬間、まりえの存在が単なる“営業”を超えてると感じさせられた。

思い出と願いをめぐる断片たち

店に来る客たちが、それぞれ抱えた人生を断片で垣間見せる描写。
元役者の五郎、服飾デザイナーのすみえ、どちらも“取り違え”や“再会”というテーマを背負っていて、ただ見ているだけで胸が重くなる。
一杯のワインによって、“会いたい人に会える時間”が演出されるその構造の切なさには、ぐっときた。

手触りのある演出と次へ誘う余白

点滴・リハビリ・料理と思い出の情景が混ざってるあの演出が、現実と夢の境界を揺らす。
映像の余白、暗がり、間の取り方、どれも“見せないこと”を意図してる感じがする。
初回から“幻想”を匂わせつつ、どこまで現実でどこからが魔法なのか、その線引きが揺れている。

あの場面の静寂、あのワインを巡る呼びかけ―どれも忘れられない。
このドラマは、ただ優しい物語じゃない。願いと後悔、生と死が交差する境界線を、そっと見せてくる。

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