所(犬飼貴丈さん)の人当たりの良さに期待していたのに、現実は揺らぎがいっぱいで、観ていて胸がざわついた。
大学生の容疑者に振り回される所に、突然登場した向井(唐沢寿明さん)が“応援”の名を借りた指導を始めるシーンがもう、鳥肌もの。
「このやり方でいいの?」と問いかけたくなる向井の取り調べスタイルが、所の中で深い疑問を生んでいくのがリアルに伝わる。
“正義”と“勝負”のあいだにあるもの
乱闘クラブの被害者証言から一気に俳優・増岡(渡邊圭祐さん)が容疑者として浮上するスピード感が効いてる。
そして、取調室という密室で繰り広げられる駆け引きの緊張感が、息を飲む展開で。
「勝たなくちゃいけない」という向井の姿勢と、「納得のいく手続きで臨みたい」という所の姿勢のズレが、重くのしかかる。
所と向井、それぞれの“プロフェッショナル”像
所はまだ若くて、理想や初心を持っていて、その分ぶつかるものが多い。
向井はベテランで、容疑者の隙を突くという“勝負”を熟知している。
この2人の対比が、ただの事件モノでは終わらない“問い”として機能しているのが、クセになる。
取調べという場面が、知ってるつもりでも実は何も知らない場所なんだと、改めて思わされた。
今回観ていて心に残ったのは、あの取調室の陰影と、増岡を前にした所の表情。
次の展開をただ期待するというより「どんな答えが出るんだろう」と自然に考えさせられた。
観終わった後も、頭の中で“あの瞬間の意味”を反芻してしまう感じ。


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