蔦重(横浜流星さん)が須原屋(里見浩太朗さん)を訪ねる場面から、静かな緊張が流れていた。
穏やかに見える対話の中に、時代の流れや人の覚悟が滲んでいて、どこか切ない余韻を残す。
過去の栄華と未来への不安が交差するような構成で、見ていて胸の奥がざわついた。
静謐な転機が生まれた瞬間
須原屋が「二代目に店を譲る」と語るシーンは、単なる引退話ではなかった。
蔦重にとっても、商いの世界にとっても、大きな転機を象徴する出来事に見えた。
時代の移ろいが人の生き方を変えていく、その流れを淡々と描く演出が印象的だった。
歌麿(染谷将太さん)との「婦人相学十躰」を巡るやり取りも、作品に新しい風を感じさせた。
身体の異変が語るもの
つよ(高岡早紀さん)の身体に起きた異変は、物語全体に静かな不安を漂わせていた。
ただの体調の問題ではなく、心の奥に積み重ねた疲れや想いが形になったようで、観ていて胸が詰まる。
蔦重の周りで起きる“変化”が、次第に避けられない運命を示しているようにも感じられた。
祝宴の裏に潜む波乱
城中での祝いの席は華やかだったが、定信(井上祐貴さん)が突然辞職を申し出る場面で一気に空気が変わった。
家斉(城桧吏さん)や治済(生田斗真さん)の動揺が、その一瞬の異変を強調していた。
“祝いの席”が“決別の場”に変わる、その対比が美しくも恐ろしくて、静かな衝撃を残した。
全体を通して、表面の穏やかさの裏に潜む緊張が際立っていた。
ひとつの時代が終わり、次の時代が始まる音が確かに聞こえた回だった。
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