「ばけばけ」第19回の感想|選択の重みが、静かに夜明けを告げる【ネタバレなし】

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東京で再会したトキ(髙石あかりさん)と銀二郎(寛一郎さん)、その2人の思いが静かに交錯していた。
松江で一緒に暮らしたいトキ、東京で夫婦をやり直したい銀二郎。答えが出ぬまま迎えた翌朝、仕事に出かける銀二郎を、トキはまるで“夫婦に戻った”かのように見送る。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
一方、松江では勘右衛門(小日向文世さん)が、親戚のタエ(北川景子さん)の元を訪ね、トキが松江へ帰らない可能性を伝えていた。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}

再会の甘さと答えなき距離感

東京での再会というシーンが、ただの嬉しい瞬間で終わらないのがこの回の深さだった。
トキの「松江で暮らしたい」という願いも、銀二郎の「東京でやり直したい」という焦りも、とても生々しくて。
2人が近づくたびに“どこに戻るのか”という問いが画面の端に浮かび続けていた。

“夫婦の形”の再設定の危うさ

翌朝、トキが銀二郎を“夫婦”として見送るあのシーン。
あれは“戻った”のか、“取り戻せない”のか。
その揺れが、観ているこちらの胸にもじわじわと伝わってきて、切なかった。
“元の暮らし”を願う気持ちが、同時に“元じゃない暮らし”への恐怖も含んでいて、矛盾を抱えた2人の心が鮮やかだった。

松江と東京、二つの地が示す選択の重さ

松江に残るか、東京へ戻るか。
その地理的な距離がそのまま“人生の選択”として立ち上がっていた。
勘右衛門がタエのもとを訪ね、「トキが松江に帰らない可能性」を伝えたシーンが、まるで“帰る場所”という前提そのものを揺るがしていた。
家族、故郷、そして未来。重なる思いが、この回ではゆっくりと揺れた。

この第19回を観終えたあと、自分の中で「答えを出すこと」の意味を改めて考えたくなった。
戻ること、進むこと、どちらも正解でないかもしれない。
だからこそ、2人がどちらを選ぶのかだけじゃなく、“その選び方”にこそ意味があるんだと思えた。
演出も光の配置・背景音・見送るトキの空気…どれも語っていた。
見逃せない回だった。

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