「ばけばけ」第16回の感想|“終わり”じゃない、折り返しの叫びが胸に響く夜に【ネタバレなし】

本ページはプロモーションが含まれています

閉ざされた工場、揺らぐ希望

傳(堤真一さん)の死からすぐに、機織り工場の閉鎖が決まり、トキ(髙石あかりさん)が職を失ってしまったあの瞬間。
「いつか何とかなる」という昔ながらの松野家の空気が、あの日を境に変わり始めたようだった。
借金取り・森山(岩谷健司さん)が容赦なく返済を迫る場面には、昭和の庶民の悲哀がぎゅっと詰まっていて、胸が締め付けられた。
遊女になるという提案まで出るって…その言葉が静かに、けれど重く胸を打った。

守るために働くということ

松野家が「なんとかなる」で済ませようとしている中、銀二郎(寛一郎さん)は一人、危機感を抱えていた。
「家族を守らなきゃ」という決意が、朝から朝まで働く地獄のような現実になっていくシーンに、涙ぐんでしまった。
仕事を増やして“報いる”つもりが、自分が壊れそうになる――そのギャップがリアルすぎて、見てて息が浅くなった。
銀二郎さんの背負うものが、トキちゃんだけじゃなく「家族の未来」そのものに見えたから。

笑いと悲しみの発酵地点

松野家の面々が「なんとかなるさ」と笑うその姿が、妙に虚しくて、でも確かにここにある温かさでもあって。
その矛盾が、話が進むほどにじわじわ滲んでくる。
借金取りの迫り方も、工場閉鎖の風景も、ドラマだからという枠を超えて“生きるってこういうこと”と言わんばかりだった。
だからこそ、銀二郎さんの一人だけが立ち上がるあの瞬間、胸の奥がザワついた。

この先に待つのは“新しい構図”か“崩壊”か

工場が閉鎖された今、松野家に残されているのは何だろう。
借金という重し、職を失ったトキちゃん、そして必死に動く銀二郎くん。
だれも“普通”には戻れない、でもどこかで“再構築”しなきゃいけない。
この第16回は、変化の幕開けとして、静かだけど深く刻まれた回だった。

「ばけばけ」の関連グッズを楽天ブックスで探す
「ばけばけ」の関連グッズをAmazonで探す

コメント