「ばけばけ」第23回の感想|“松江で迎えた朝が寓(いみ)を増して”【ネタバレなし】

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憧れの地で感じた“非日常”の朝

ヘブン(トミー・バストウさん)が松江の旅館で目覚め、憧れの「神々の国の首都」で迎えた朝景色に心を奪われるシーンが胸に響いた。
浴衣姿で旅館を出たあの瞬間、視界の中に広がる松江の街並みと静かな朝の空気に、まるで時間が止まったような感覚になった。
異国の教員としてこの地に暮らすことを選んだヘブンが、「ここが自分のいるべき場所かもしれない」と感じる微かな確信と、心の奥にある孤独が同時に伝わってきた。

トキの視線が捉えた“生活の断片”

遊女・なみ(さとうほなみさん)から頼まれたお使いで、トキ(髙石あかりさん)はヘブンが宿泊する花田旅館を訪ねる。
そこで偶然垣間見るヘブンの生活の一部――それは、異国の人間である彼の素顔を覗き見るような瞬間だった。
彼女の目を通して描かれるヘブンの日常は、どこか不思議で、人間らしくて、少しだけ切ない。
“見つめる”という行為がそのまま心の距離を描いているように感じた。

錦織にかかる“見えない重圧”

その頃、錦織(吉沢亮さん)は知事・江藤(佐野史郎さん)から、ヘブンの世話をしっかりするよう念を押される。
言葉の裏には、政治的な思惑や責任の重さがにじんでいて、若い錦織にとってはあまりにも大きな試練だった。
自由なヘブンを“管理”するよう求められながらも、心のどこかでそれを拒む錦織の表情が印象的で、観ていて胸がざわついた。
“守ること”と“支配すること”の境界線が、静かに問われていたように思う。

朝の静けさに潜む変化の予兆

第23回は、特別な事件が起こるわけではないのに、確かに何かが動き始めたことを感じさせる回だった。
ヘブンの感動、トキのまなざし、錦織の葛藤――それぞれの思いが重なり、次の波を予感させる。
松江という土地の静けさが、まるで登場人物たちの心を映す鏡のようで、どの場面もどこか神秘的。
この物語の中で“生きる”ということの意味を、少しだけ考えさせられるような朝だった。

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