「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」第43回の感想|“裏切りの恋歌”が胸に深く残った夜に【ネタバレなし】

本ページはプロモーションが含まれています

変化の波が静かに近づく

今回、蔦重(横浜流星さん)が歌麿(染谷将太さん)に対して見せた「もうこれは絶対に偶然じゃない」という執念が、本当に怖かった。
吉原の借金返済の代わりに女郎絵五十枚という契約を着々と進める蔦重に対して、歌麿の揺れ動く感情が交差して、画面の隅々に緊張が漂っていた。
「僕とは組まない」と切り出す歌麿の言葉と、蔦重の「何でもするから」という懇願の対比が、胸に突き刺さった夜だった。

夢と契約と裏切りの混ざり合い

歌麿が西村屋の万次郎(中村莟玉さん)との組み話を持ちかけられたと知った蔦重の動揺は、ただの嫉妬や焦りではなく、まるで「信じていたもの」が音を立てて崩れる予感のようだった。
そして、蔦重が長兵衛を通じてその話を知る場面…あの静けさと視線の動きがすべてを語っていて、私は思わず息を止めて見入ってしまった。
“契約”という言葉が、夢の代理として用いられた瞬間、その裏側に隠れていた影が一気に浮かび上がった気がする。

権力の影、文化の渦

一方で、江戸城では定信(井上祐貴さん)がオロシャ(ロシア)対策に奔走し、大老の座を狙っている動きも描かれていた。
蔦重・歌麿の物語と、幕府の内側で静かに進む政治駆け引きが、あまりに別のリズムで進んでいるようで、でも確かに重なっているのが妙だった。
「文化」と「権力」が交錯するこの回が、シリーズ全体の深い構図を改めて感じさせてくれた。

見終わっても残る余韻

見終わったあと、夜布団の中で蔦重の表情を反芻していた。
彼が本当に「欲しいもの」を口にした瞬間、画面のあの空気がぐるりと変わった。
そして歌麿の背中にある“選択”の突きつけられ方が、まるで自分に迫っているかのようだった。
この回を見たあとは、しばらく吉原の夜と、江戸城の廊下が頭から離れなかった。

コメント