いつもと違う夜のはじまり
ある夜、右京さん(水谷豊さん)が何気なく出かけたディナーで知り合った熊井エリザベス(かたせ梨乃さん)という女性。
その出会いが、「ただのディナー」で終わらない空気を一瞬でまとってしまった。
タクシーを見送った直後に、あの初老の男(米村=吉満寛人さん)が現れたあの場面が、まるで映画の序章みたいに心をざわつかせた。
“僕を悲しませるな”という刃のような言葉に、ただの偶然では済まされないものがあると感じた。
金と権力が紡ぐ影のつながり
米村という大手通信会社の会長という立場と、エリザベスという存在。そして右京さんという人。
この三者の関係性を追いかけていく中で、「あれ?この人たち、ただの知り合いじゃない…」と思った。
薫さん(寺脇康文さん)と並んで右京さんが調べに動き出す感じが、いつもの捜査とは違う“私人が闇に巻き込まれる”ような空気だった。
権力の中で愛や友情が歪んでいく様が、画面からじわじわと伝わってきた。
恋でも友情でもない、曖昧な感情の螺旋
エリザベスの“意外すぎる秘密”みたいな断片が出てくるたびに、「ああ、この人がこうだったのか…」とゾクリとしてしまった。
右京さんの「初めて会った」宣言の裏にある“信じる/信じられない”のラインが、揺れ動いているのが切なかった。
「みんな彼女を好きになる」というタイトルにも納得。けれど、“好き”という言葉が持つ軽さがここではひどく重たく映った。
“正義”が映す自分の姿に戸惑う
右京さんが刑事部長に呼び出されて、私生活にまで触れられるあの場面…。
ただの捜査官ではいられない、捜査される側にもなるという恐怖が浮かび上がる。
“守るべきもの”と思っていたものが、もしかしたら“見せかけ”だったのかもしれない。
見終えたあと、しばらく画面の余韻で時計を見ながら考えていた。「誰の言葉を信じているの?」と。


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