揺らぐキャリア、揺らぐ心
派遣社員・山本莉子(工藤美桜さん)が、突然の解雇を告げられたあのシーン。
「これで終わりなのかな…」と彼女が呟いた背中に、私までぎゅっと握られた気がした。
帰路で転倒しかけて助けられたイケメン会社員・安東ツトム(小川史記さん)に一瞬救われたようでいて、その出会いがまさに震源地だった。
「誰かに頼る」という選択が、こんなにも“危うい振り子”になり得るんだとハッとさせられた。
誘惑の影と、正面からの現実
ツトムとの一夜を過ごしてしまった莉子。そこには“安心”という錯覚と、“後悔”という静かなうねりが共存していた。
しかも、ツトムが既婚者だったという“事実の重み”が、時間の経過とともにじわじわと、「あ、これは抜けられない沼かも」という思いを胸に灯して。
同時に、売れないバンドマン・椿タクマ(山中柔太朗さん)ののんびりとした“日常”が、この回では鏡のような役割を果たしていた。
夢を追ってるようで、実は“追われている”彼の姿が、莉子の選択と並行している感じがして、胸にひっかかるものがあった。
“秘密”が鍵を握る遊び場
莉子の生活、タクマの生活、それぞれ“秘密”や“ウラの顔”の片鱗が見えてきた。
表面上はうまくやってるようでも、裏では「バレたら終わるかもしれない」と思わされる瞬間がちらつく。
それが、この第1話の最大の芯だったと思う。
“この人を信じていいのか”“この状況から逃げていいのか”という問いを、彼女も私も突きつけられた気がした。
見終わったあと、静かに揺れていた
あのホテルの一夜、あの暗がりの気配、ツトムの笑顔の裏に見えた影。
画面を消したあともしばらく、スマホの通知音にドキッとしてしまった。
「楽な方を選ぶって、どこまでが“悪い”の?」という問いが頭を巡って、寝つきが悪くなるほど。
でもそれこそが、このドラマの力だと思う。
まだ始まったばかりなのに、もう“もう後戻りできない場所”に踏み込んだ気がする。そして、その高揚と恐怖が、混ざったまま夜を包んでいた。


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