朝のいつもと違う空気
ある朝、樹(草彅剛さん)がいつものように朝食を準備していると、陸(永瀬矢紘さん)が浮かない表情で腹痛を訴える場面から始まる。
学校か病院か、父として促す樹の言葉に、“渋々登校を選ぶ息子”というシーンが胸に刺さった。
送った後、いつもより小さく感じる背中に、父としての心配が募る――そんな静かな描写が、この回の第一歩だった。
母と娘の“言えないこと”が繋ぐ距離
一方で、生前整理を始めた母・こはる(風吹ジュンさん)に対して、娘・真琴(中村ゆりさん)が抱く違和感がじわじわと広がる。
こはるに口止めをされる樹。真琴の疑い。二人の距離と、家族の内側で動く“秘密”が、このエピソードでは「言えないという絆」になっていた。
「娘の負担になるのは嫌」というこはるの言葉が、あまりにも強く響いた。
いじめという現実が浮かび上がる
読み聞かせのため訪れた小学校で、陸がいじめを受けている現場に真琴が出くわす。
「自分がされて嫌なことは人にしないよ」という父親の教えを守ろうとしてるのに、なぜ自分だけ…という陸の涙に、胸が重くなった。
真琴が思わずアドバイスしてしまったその一言が、後に問題を引き起こす―その予感の描き方が秀逸だった。
過去の影が静かに動き出す
そして、磯部(中村雅俊さん)の元に、10年前に息子を失った話を聞き出そうと訪れる波多野(古川雄大さん)。
マスコミを信用しない男が抱える、深い傷。揺さぶられる過去が、今の事件とどうリンクするのかという“底知れない恐怖”が画面に染みていた。
親として、息子として、そして“遺された者”としての闇が交差するこの回。
この第3話を見終わって感じたのは、“言えないこと”が人を優しくも残酷にもするということ。
樹の父としての葛藤も、真琴の娘としての葛藤も、いじめを受ける陸の心も、すべてが交錯していて、ただのドラマじゃない“人の中の痛み”を描いていた。
ラストの静かなベンチのシーン…あの余韻が頭から離れない。


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