「ばけばけ」第20回の感想|静かな日常が揺れる、朝食の音と怪談の声【ネタバレなし】

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トキ(髙石あかりさん)が下宿での慰労会で怪談を披露するあの場面、思わず耳を澄ませたくなった。
錦織(吉沢亮さん)の教員試験合格を祝う場で、「怪談」というトキらしい選択がさりげなくも強く印象に残った。
松野家の司之介(岡部たかしさん)、フミ(池脇千鶴さん)、勘右衛門(小日向文世さん)が「トキはもう松江には帰らない」という覚悟を固めている様子に、胸の奥で少しの緊張が生まれた。
そして翌朝、トキが銀二郎(寛一郎さん)と初めて味わう西洋風の朝食。
あの静かな食卓が、変化の始まりを告げるようで、見ていて居心地良さと共に、少しの寂しさも感じた。

あの怪談を聞いていた瞬間

トキがマイクを手にして、みんなの前で語り始めた怪談。
聞き手としての私も、トキの声に引き込まれてしまった。
怪談の内容自体も趣深くて――彼女の「大好き」が、こうやって場をつくることができるんだなと感じた。
会場の雰囲気の中に、昔話の灯りみたいなものがぽつりと灯っていた。

松野家の“帰らない覚悟”

松野家の面々が揃って、トキが松江に戻らない可能性を前提に考えていた場面。
その視線の先には、ただの出発ではなく「変化」が見えていた。
帰るという安心より、「ここにいない」という存在の大きさを思わせる。
トキが変わることで、家庭も変わる。覚悟とは時に、言葉にしないまま、空気に滲むものなんだなと思った。

朝食の音が象徴する“新しい日常”

翌朝、銀二郎と初めての西洋風の朝食を囲むトキ。
ナイフとフォークが皿に触れる音、コーヒーが注がれる香り…なんでもない“朝”が、これまでとは違う様子だった。
その変化に、私は「これはただの日常じゃない」と気づいてしまった。
朝ごはんひとつで、世界がちょっとだけ広がる瞬間。
そういう瞬間を見逃したくないと思った。

この回を観てから、ふとした“音”や“香り”がなぜこんなにも胸に残るのか、自分でも驚いた。
トキの歩みが、松江という地、下宿という居場所、それぞれの距離を映していて、じっと見守ってしまった。
演出がしみじみ効いてて、後から思い返すほど「こんなところで伏線があったんだ」と気づくことも多くて。
このドラマを知ってる立場として、「あの朝食あの怪談あの覚悟」が、これから先の物語に効いてくるな、と思えて。
観終わったあとに静かに胸に残るものがある、そんな回だった。

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