「終幕のロンド ーもう二度と、会えないあなたにー」第1話の感想|沈んだ心に差す光と影【ネタバレなし】

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冒頭から、樹(草彅剛さん)の静かな佇まいにぐっと引き寄せられた。
5年という時間が刻んだものと、今この瞬間の痛みが重なって見える。
彼の「遺品整理人」という仕事が、ただの作業じゃなくて“遺された想いを伝える”使命として描かれているのが胸に響く。

生/死の間をたゆたう時間

孤独死した部屋での描写には、静かな恐怖と切なさが混ざっていた。
残された遺族の拒絶と、故人の痕跡を探る樹たちの視線との間の緊張。
“すべて処分してほしい”と言う息子さんの言葉が、痛いほどリアルだ。
でも、樹が見つけた“あるもの”の存在が、あの部屋に確かに物語を残すことを示していて、心が揺れる。

絵本作家・真琴の背負うもの

御厨真琴(中村ゆりさん)の結婚生活は、見た目の華やかさの裏で密やかに崩れていく気配がある。
利人(要潤さん)との関係や、義母からの無言のプレッシャー。
華やかな出版記念パーティーの場面で見せる真琴の表情の端々に、疲労と諦念がにじんでて、「きっとこの奥底には誰にも言えない思いがあるんだろうな…」と思わされる。

運命がすれ違う人々の交錯

こはる(風吹ジュンさん)の“余命宣告”という過酷な現実が、このドラマには早くも影を落とす。
その娘・真琴との思いがけない邂逅。
“遺品整理”という仕事を通して、いくつもの人生の断片がそこかしこに重なっていく構図。
回を追うごとに、人の“終わり”が、他者の“始まり”とつながっていきそうな予感がする。

第1話だけで、すでに涙がこぼれそうになる場面が何度かあった。
静かな力強さと、言葉にしづらい痛みを、映像と言葉でぎゅっと抱き込んでくる。
これから重なっていく過去と現在、“縁”と“別れ”の旋律に、早くも心が揺れている。

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